生命保険は遺産相続の対象になるの? 契約の内容を確認しよう
遺産相続ではさまざまな手続きが必要になります。手続きが増えるほどスムーズな相続が難しくなり、時としてトラブルが生じることもあります。
その例に生命保険金が挙げられます。生命保険金を誰が受け取るのかなどについて、前もって考えておかなければいけません。
ここでは、生命保険を遺産相続する際のポイントに対してご紹介します。
生命保険金は相続の対象?
たとえば、夫と妻と子供2人の4人家族で、夫が次のような契約を結んだとします。
・自身(夫)が保険料を支払い、自身が死亡した場合、保険会社は妻に死亡保険金を支払う
このような契約をした場合、夫が死亡したときに発生する死亡保険金請求権は、妻の固有財産となり夫の相続財産とはなりません。
これは“保険金受取人としての相続人に個人を指定した場合”です。
指定が無い場合は法定相続人が受取人となります。
しかし、指定すれば誰でも保険金が受け取れるというわけではありません。
基本的に2親等以内の血族の人であることが条件とされています。
また会社によっては内縁関係・婚約関係でも受取人になれるケースもあります。
以上のように、生命保険は指定があればそれに従って支払われるため、遺産ではありません。
しかし、夫が支払った保険料が妻や子供に生命保険金として支払われることから「みなし相続財産」と言われています。
誰が保険金を払い誰が受け取るかで税金が変わる
生命保険金は、税金上、誰が保険金を払い誰が受け取るかで相続として扱われる場合もあります。
では、どのように違うのでしょうか、かかる税金を例にご紹介します。
まず「生命保険では保険契約をした契約者」と「保険が掛けられた被保険者」「生命保険金を受け取る受取人」の3つのポジションが存在します。
それぞれ誰が当てはまるかで税金が変わってきます。
・契約者(夫)-被保険者(夫)-受取人(妻)の場合
上記のように契約者と被保険者が同一の人である場合は、保険金に相続税がかけられます。
・契約者が(妻)-被保険者(夫)-受取人(妻)の場合
上記のように契約者と受取人が同一の人である場合は、保険金に所得税がかけられます。
・契約者が(妻)-被保険者(夫)-受取人(子)の場合
上記のように契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合は保険金に贈与税がかけられます。
生命保険の受け取りには、3つのパターンがあり、中でも相続税がかかるケースが一番多いと言われています。
生命保険の受取は相続税がかかるようにすると有利
贈与税は、保険金から基礎控除(110万円)を引いた額から税金が計算されます。
一方で相続税は、葬儀費用・基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人の数)を差し引いた金額が税金の対象となります。
このため大きな資産を持っていない限り税金の対象にはならないと考えられます。
このように、税金対策の1つとして契約内容を考える方も少なくありません。
生命保険金は、相続財産ではなく、被保険者が死亡した際に受取人に発生する固有の財産と考えられます。
このため、生命保険金は遺産の分割対象とならず、遺産分割協議書に記載する必要もありません。
法定相続人は生命保険金が相続財産ではないことについて理解、周知しておく必要があると言えるでしょう。